怒りの氷山:怒りの下に隠れている本当の気持ち

まわりに見えている「怒り」は、アンガーアイスバーグ(怒りの氷山)の一角です。水面下に隠れている本当の気持ちを選んで、パートナーに伝えるための文章を作ってみましょう。

水面下に隠れているかもしれない気持ち

怒りの下には何がありますか?

水面下にある気持ちを3つまで選んでみましょう。最初に目が止まったものから選んでみてください。

迷ったときは「傷」「恐」「疲」から試してみましょう。

印刷して使える「怒りの氷山」をダウンロード(PDF) A4・1ページ、無料、登録不要です。

「怒りの氷山」が意味すること

「怒りの氷山」モデルでは、他の人の目に見える怒りは水面上に出たほんの一角にすぎません。水面下には、傷つきや恐れ、恥、単なる疲れなど、素直に見せにくい一次感情が隠れています。

キース・サンフォードによるカップルなどの関係性を対象とした3つの研究では、怒りは否定的なコミュニケーションにつながりやすい一方、傷つきや悲しみといった柔らかい感情は、落ち着いた対話や歩み寄りの意欲につながることが示されました(Sanford, 2007)。このツールが「怒りの下にある気持ち」を軸に文章を組み立てるのはそのためです。

言い合いの最中に使うステップ

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    まずは一時停止する

    心拍数が毎分100回を超えているときは、感情があふれて冷静さを失っているサインです。「少し休憩したい」と伝えて、最低20分は時間を置いてから話し合いを再開しましょう(Earnshaw, 2024)。

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    水面下の気持ちを探す

    当てはまる気持ちを最大3つまで選んでみてください。脳画像研究では、感情を言葉にしてラベル付けすることで扁桃体の過剰な反応が落ち着くことが示されており、気持ちに名前をつけるだけで怒りの熱が和らぎます(Lieberman et al., 2007; Torre & Lieberman, 2018)。

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    柔らかい本音から伝える

    怒りの下にあった気持ちと「こうしてもらえると助かる」という1つの希望から話を切り出し、パートナーが答える余白を作りましょう。

パートナーが怒っているときの向き合い方

  • 決めつけずに質問する

    「怒ってるんじゃなくて不安なだけでしょ」と決めつけるより、「何かほかに気になっていることがある?」と聞く方がずっと心に届きます。

  • 「落ち着いて」は禁句

    「落ち着いて」と言われると、自分の気持ちを否定されたように感じてしまいます。代わりに「その怒りの下にどんな気持ちがあるのか」に関心を持ってみましょう(Benson, 2016)。

  • 八つ当たりの受け皿にならない

    外での嫌な出来事をぶつけられたときは、「話は聞きたいけれど、その言い方だとつらいな。少し散歩したあとに話そう」と伝えて大丈夫です。

  • 恐怖を感じる怒りは別問題

    脅しや侮辱、「何をされるかわからない」という恐怖を感じる怒りは、氷山モデルで探るものではありません。身の危険やDVに悩んでいる場合(または自分自身が加害してしまいそうで不安な場合)は、専門の相談窓口(日本のDV相談ナビ #8008、米国のNational Domestic Violence Hotline 1-800-799-7233など)に相談してください。

水面下に隠れた全14個の気持ち

傷つきと喪失感
傷
きつい一言や破られた約束など、相手の言葉や行動が心に刺さったとき。 ニーズ:聞いてほしい, 確認, つながり。
孤独
すぐ隣にいるのに、心が通い合っていない時間が続いているとき。 ニーズ:つながり, 注目, 身体的な愛情。
失望
楽しみにしていたことや当てにしていたことが叶わなかったとき。 ニーズ:聞いてほしい, サポート。
恐れと不安
恐
ふたりの関係やお金、健康など、大切なものが脅かされていると感じるとき。 ニーズ:安心, 安心したい, サポート。
不安
次に何が起きるかわからず常に気が張っていて、ささいなことで限界を超えてしまうとき。 ニーズ:安心, 穏やかで静か。
嫉妬
パートナーの関心や愛情が、他の誰かや何かに向いてしまうのが怖いとき。 ニーズ:安心, 注目。
心細さ
「自分が相手を大切に思うほどには、相手は自分を大切に思っていないのでは」と不安になるとき。 ニーズ:安心, 大切にされたい, 注目。
恥と後ろめたさ
恥ずかしさ
特に人前で、間違いを指摘されたり、からかわれたり、弱みをさらされたとき。 ニーズ:尊敬, 少し距離を。
恥
自分のした行動だけでなく、「自分自身に問題があるのではないか」と感じているとき。 ニーズ:安心, 見てほしい。
罪悪感
うまくいかなかった原因の一端が自分にもあると、心のどこかでわかっているとき。 ニーズ:少し距離を, 安心。
キャパオーバーと疲労
ストレス
一度にたくさんのことが重なり、もう1つ何か言われただけで攻撃されたように感じるとき。 ニーズ:サポート, 穏やかで静か, 言葉での励まし。
余裕のなさ
抱えているものが整理しきれないほど多く、小さなきっかけでパンクしそうなとき。 ニーズ:サポート, 少し距離を。
疲
寝不足や食事抜き、長い一週間のあとで、エネルギーが空っぽになっているとき。 ニーズ:穏やかで静か, サポート, 少し距離を。
無力感
自分にとって大切なことなのに、自分の力ではどうにも変えられないとき。 ニーズ:サポート, 聞いてほしい。

「怒りの氷山」についてのよくある質問

怒りは二次感情なのですか?

二次感情である場合が多いですが、ポール・エクマンの基本感情の研究(Ekman, 1992)では、怒りそのものも基本感情の1つとされています。一方、感情焦点化療法(EFT)では、恐れが怒りに変わるように別の感情への反応として生じる怒りを「二次感情」と呼びます(Greenberg, 2004)。氷山モデルを使うと、今の怒りがどちらなのかを確かめられます。

怒りの氷山を作ったのは誰ですか?

特定の作者ははっきりしていません。カウンセリングや学校のワークシートとして広まった図で、現在よく知られているのは2016年にカップルセラピストのカイル・ベンソンがゴットマン研究所のブログで紹介した記事(プレイセラピーのサイトを出典とした図)です。

印刷できる怒りの氷山のPDFはありますか?

はい。このページにある1ページのPDFは、無料・登録不要でダウンロードできます。14個の感情が載った氷山の図と、3つの振り返り質問、穴埋め式の伝達テンプレートが入っており、ワークシートとしてそのまま使えます。

子どもや中高生でも怒りの氷山を使えますか?

はい。小さなお子さんと使うときは、「傷」「恐」「恥ずかしさ」「疲」の4つの言葉から始めてみてください。怒りの下にどれがあったかを聞き、言葉にするのが難しければ印刷した氷山の図を指さしてもらいましょう。