感情の輪(フィーリングホイール)の使い方
感情の輪は、内側から外側へ向かって読みます。中心には8つの大きな感情グループがあり、外側のリングにはそれぞれの具体的な言葉が並んでいます。
- まず体の感覚に目を向ける。 言葉が出てくる前でも、胸の締めつけや顔のほてり、胃の重さがヒントになります。
- 当てはまらないグループを外す。 いま何を感じているか分からなくても、「これではない」というものは分かるはずです。ピンとこないグループを消していきましょう。
- ひとつ外側のリングを見る。 残ったグループの中の言葉を読み、いちばん近いものを選びます。2つ当てはまるなら両方残してかまいません。気持ちが入り混じるのは自然なことで、Phorbでも1回に2つまで記録できます。
- 一文で言葉にしてみる。 頭の中で思うだけより、声に出したり書き留めたりする方がずっと気持ちが整理されます。
3日連続で「別に」「疲れた」と答えている自分に気づいたら、感情の輪を開いてみてください。そうした言葉は会話を閉じてしまいますが、「失望」や「孤独」ならパートナーも言葉を返しやすくなります。
パートナーへの気持ちの伝え方
1〜2文でシンプルに伝えます。
[起きたこと]について[感情の言葉]と感じている。[1つのニーズ]してもらえると助かる。
たとえば、「今月のお金のことで心配になっている。日曜日にふたりで数字を見直せたら安心できる」と伝えます。そこまで言ったら一度止めて、パートナーの返事を待ちましょう。なぜそう感じたのかという詳しい背景は、あとから話せば十分です。
相手を責める言葉を「感情」に言い換える
感情のように見えて、実は「相手がしたこと」を表している言葉があります。「無視されたと感じる」は「あなたが私を無視した」という意味になり、パートナーは責められたと感じて身構えてしまいます。その奥にある本当の感情を探してみましょう。
- 無視された: 「孤独」や「傷」を試してみてください。
- 軽んじられた: 「傷」や「怒」を試してみてください。
- 批判された: 「恥」や「傷」を試してみてください。
- 束縛されている: 「苛立」や「不安」を試してみてください。
- 見捨てられた: 「恐」や「孤独」を試してみてください。
「夕飯のときにスマホを見られていて、孤独を感じた」と伝えれば、歩み寄りをお願いする言葉になります。「無視された気がした」と言うと、スマホを見ていたかどうかの言い合いになってしまいます。
感情が高ぶっているとき
動揺しすぎて具体的な言葉を選べないときは、中心のグループ名だけを伝えて少し時間をもらいましょう。「いま怒を感じているから、20分だけ時間を置いてほしい」と伝え、落ち着いてから話の続きをします。もし何度も行き着く言葉が「軽蔑」なら、そのままにしないでください。ゴットマン研究所(The Gottman Institute)は、軽蔑を離婚の最大の予測因子として挙げています。
パートナーが気持ちを打ち明けてくれたとき
自分の意見を言う前に、まず相手の言葉をそのまま受け止めます。「孤独なんだね。いつからそう感じてた?」と返すだけで十分です。気持ちを打ち明けることは、心理学者ジョン・ゴットマンが呼ぶ「つながりの働きかけ(ビッド)」にあたります。ゴットマン研究所の研究では、結婚から6年後も関係が続いていた夫婦は相手の働きかけに86%応えていたのに対し、離婚した夫婦では33%にとどまっていました。パートナーが何を求めているか分からないときは、慰めてほしいのか、解決を手伝ってほしいのか、ただ聞いてほしいのかを尋ねてみてください。Phorbの毎日のチェックイン質問でも同じフォローアップを取り入れています。
良い感情もシェアする
感情の輪を「ネガティブな気分の表」だと思っている人は少なくありません。でもこの輪にある「嬉」「信頼」、そして「期待」の多くは心地よい感情であり、同じくらい伝える価値があります。シェリー・ゲイブルらの4つの研究では、良い出来事を誰かに話すことで出来事そのもの以上に気分が高まり、パートナーが一緒になって喜んでくれるカップルほど親密さや日々の満足度が高いことが分かりました。「今日の電話対応がうまくいって誇らしい」という報告も、「ストレスを感じている」と同じくらい大切です。
感情に名前をつけると楽になる理由
- UCLAの脳画像研究では、ネガティブな画像を見てその感情に言葉を当てはめた人は、別の方法で処理したときよりも扁桃体の活動が抑えられました。扁桃体は脅威に反応する部位であり、感情に名前をつけることで心の高ぶりが和らぐと考えられています。
- トッド・カシュダン、リサ・フェルドマン・バレット、パトリック・マクナイトのレビュー論文によると、不快な感情を細かく区別できる人は、強いストレス下でも暴飲や攻撃的な行動、自傷に走りにくいことが示されています。心理学ではこれを「感情の粒度(エモーショナル・グラニュラリティ)」と呼びます。
- 日常会話を記録した2つの日記研究では、自分の内面を打ち明け、相手も打ち明け返してくれたときにより強い親密さが生まれ、「理解してもらえた」という感覚がその結びつきを支えていました。事実を共有するよりも、感情を共有する方がふたりの距離を縮めます。
もちろん、ひとつの言葉でつらい1週間がすべて解決するわけではありません。ただ、言葉を見つけて、耳を傾けてくれる人に伝えることは確かな第一歩になります。そもそも自分の感情がまったく分からない場合や、気分の落ち込みが何週間も続く場合は、カウンセラーや医師に相談してください。
このページの感情の輪について
元祖となる「フィーリングホイール(Feeling Wheel)」は、1982年にグロリア・ウィルコックスが『Transactional Analysis Journal』で発表したものです。中心に6つの基本感情(悲しい、怒り、怖い、楽しい、力強い、穏やか)を置いた3層の輪で、多くのカウンセリング現場で使われています。
一方、ロバート・プルチックの「感情の輪」は、8つの基本感情を4組の対極ペア(喜びと悲しみ、信頼と嫌悪、恐れと怒り、驚きと期待)として配置したモデルです。
このページの感情の輪は、プルチックの8つの感情グループをベースに、外側のリングに日常で使いやすい37の言葉を配置しています。Phorbアプリ内でもまったく同じ言葉を選べるため、ここで見つけた言葉をそのままパートナーに送れます。スマートフォンの画面でもすべての言葉が読みやすいよう、あえて3層ではなく2層に絞っています。